ヒツジの話
- 三夫 布目
- 7月7日
- 読了時間: 3分
更新日:2 日前
6月の話を書こうと思っていたところ、アマプラで「ひつじ探偵団」が早くも配信されていたので、その話を。 動物&ロジックという、動物学研究者にとっては必修科目的な映画であると思っていたけれど、いつ上映かをまったく気にしていなかった。が、さすがプライムオリジナル。日本だと劇場公開とアマプラ配信の時間差がたったの2週間だったようだ。
論文的に結論から言うと、「期待して見たらだめかもしれないからあまり期待しないで見ようと思ったら当初の期待をはるかに超える素敵な映画だった」ということ。もはや読点を入れることすら憚れるほど面白い映画だった。
ので、今回はその素晴らしかった点をひたすら書くことにした。
①自然な伏線配置とその回収
どれだけの伏線をどのように配置し、いつどんな形でそれを回収するのか、は物語の面白さに関わり、映画だと脚本家や演出さんの腕の見せ所なのかな。これが上手くない映画は、「伏線」が不自然に配置されることで先が読めてしまうのだけれど、この映画は伏線を伏線と感じさせずに、そこかしこに配置されている。後半になって、それが自然な流れで次々と解き明かされていくため、見終わった後の満足感と「最初からもう一度見たい」と思わせる作品であった(なので、伏線探しよりは、まずはストーリーを楽しむのが良い)。
②「ミステリー」であって「ミステリー」ではない
この映画は、「ミステリー」を通して、子どもたちにいくつかの視点を提供しているように思う。まず、「ひつじ」が主役であることが一般的な推理物と異なる点だが、もう一つ、他の「ミステリー」作品と大きく異なるのは、そもそも「血」が出てこないこと。嵐の夜など暗くて不穏なシーンが少し「怖い」と子どもたちに思わせるかもしれないが、事件そのものの描写は控えめで、出てくるとしたらヒュー・ジャックマンさんの安らかな顔くらいである。代わりに「死生観」や、「異物」は別の社会だと「異物」ではないこと、正義を貫くかっこよさ、など、多くの子どもが出会うであろう壁への向き合い方が描かれており、児童文学的な作品だと感じた。
③ヒュー・ジャックマンさんとヒツジの安心感
ヒュー・ジャックマンさんは、「ウルバリン」のイメージが強いのかもしれないけれど、「グレイテスト・ショーマン」や「レ・ミゼラブル」、「オーストラリア」など、ほんとにいろんな役ができる人。今回は、優しい羊飼い役を演じてくれました(その優しさがどこからきているのかも語られる)。後半は巡査演じるニコラス・ブラウンさんとヒツジたちのコミカルなシーンで、クスクス笑いながら見ていられる、始終安心感抜群の作品。ニコラス・ブラウンさんも、どこか抜けている上に、とても人間らしい「欲」に正直な性格だけど、善悪の判断はしっかりする誠実な巡査役がばっちりハマっていた。最近どこかで見たと思ったら、これもアマプラのリメイク版?「ポルターガイスト」に出てた人だった。
現実社会のクサクサ感を洗い流したい人は、この映画の人(とヒツジ)の優しさはお勧めだと思う。
あと個人的な気づきをくれたのは、リリーたちが道路を渡るシーン。 やっぱり、動物にとって道路って、そういう存在なのか。
最後に一つ、この映画を観る際の注意点を。
この映画を家族で見ると、将来就きたい職業を「羊飼い」とする子どもが言い出すかもしれないことに加えて、老後の生活を「羊飼い」と設定する大人が出てきてしまうかもしれないということである。


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